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  • 執筆者の写真綾里食べる通信

【佐々木伸一】綾里のプロデューサー 

綾里漁協食べる通信の生みの親の方、佐々木伸一さん 現在綾里漁協にお勤めています。

現在生産者と漁協の間を駆け回っているが、 当初は生産者とは縁遠い部署で仕事をしていました。


内勤から生産現場へ、きっかけは恋し浜ホタテ


ずっと俺は内勤だった。事務作業が中心で生産者と関わりあう機会がなかったから、生産者と触れあうことが本当に少なかった。目の前にある事務を淡々とこなす日々だった。

それを変えたのが、平成15年、従兄弟であるホタテ漁師の佐々木淳さんをはじめとした、小石浜地区の若いホタテ漁師とはじめたプロジェクトでした。このことをきっかけに佐々木伸一さんはホタテ生産者と共に、漁協としては異例の、県漁連が買い上げたホタテを綾里漁協が買い戻し、直販する「恋し浜システム」を作り上げることになります。


「淳さん達がそういうことやりたいって漁協に来た。当時粋な課長さんがいたんだけど、一緒にやってみるかってことになった。けど最初は、そんなに志が高いってわけでもなく、とりあえず経理や数字に強いからやってって言われたのがきっかけ。しかも当時は漁協の事業としてやるんじゃなくて完全にボランティアとしてはじまった。考え方は変わったね。何のために俺こうやって動いてんのかなと思うと、やはり生産者のためにやりたいと思うわけ。生産者が純粋にやりたいことをやれる可能性があるんだったら、漁協としてサポートしてやっていけないのかな~って思うようになった。」


綾里漁協食べる通信、異色な食べる通信と自負する


生産者・漁協・消費者の三角関係もう一度問い直す

綾里漁協食べる通信は、全国数多くある食べる通信のなかで、唯一漁協を発行元としている通信です。通信の記事は主に佐々木伸一さんが執筆されています。食べる通信の主な目的の一つに、「消費者に商品とともに、生産者の思いを伝える」ことがありますが、綾里漁協食べる通信には別の狙いもあるそうです。


「バランスが難しいものでね、生産者がやりたいということはやらせたいんだけど、自由すぎたら秩序が乱れるから、漁協はそれのコントロール役になるわけね。漁協って生産者があって組織しているもの、持ちつもたれつなわけであって、漁協は生産者がいなければ運営できないし、生産者も漁協がなければ海に行けないし。だから漁協と生産者は近い関係の方がいいと思うわけ。お互い足引っ張るとかそういうふうなのはいいことじゃないと思ってる。近ければ近いほどお互いを理解して協力し合えるし、不足なところを補えるし。


だから俺が漁協の職員として、食べる通信を通して世の中に発信して、生産者にもこういうことやってるからって声をかけて、お互いがお互いに目を向け合う機会を作りたい。

うちの食べる通信の個性は、売上を伸ばしたり、良い物を紹介するのはそれはそうだけど、俺的にはそこだけじゃないんだよね。俺の裏テーマは、綾里というこの小さな地域で、漁民と漁協、そして地域がもう一回漁業っていうものを考え直すっつーか、見つめ直すひとつのきっかけとなればなって。」


綾里食べる通信創刊号

綾里漁協食べる通信には、発行を通じて「生産者と漁協との関係性をもう一度問い直すきっかけとする」願いも込められているのです。


漁協の変化 外から来た人に対して開かれた漁場と漁業へ

空いてる海をいかに利活用するかっていうのが漁協の腕のみせどころ

佐々木伸一さんは、今後漁協は生産者との関係を見直すだけではなく、漁協自身がもっと変わらなければいけないと考えています。その一つの例として「開かれた漁場」を挙げてくれました。


現在綾里には、男女問わず漁業をしたい人が集まってきています。そのような人たちに対し、一部漁場を貸し出しても良いのではないかと佐々木さんは語ります。実は綾里漁協では設立当初の昭和20年代と比べ、組合員の数は約200名減っています。漁場は各人に割り振られているため、現在では漁場が余るくらいになっているのです。


「漁業っていうのは閉鎖的な社会なんだよね。良い漁場や漁法を他の人に教えたくないってのが根本にあって、そういう独占欲みたいなので成り立ってるから。ただ、その事が悪いってわけでもなくて、むしろそんな負けず嫌いの精神は漁師として大事なスキルだと思ってる。俺が疑問に思う事は、漁業界の社会構造的な部分。そのひとつの例に組合員になる為の条件っていうものがあるわけね。組合員にならないと漁業という職業が出来ないわけだけど、漁業経験のない者が組合員になりたいと言ってもなれないわけで、そこにちょっとした矛盾を感じる。それが結果的に、外部からの人の受け入れを拒んでることになってると思う。昭和20年代の決まり事がこの平成の世の中でも変わらずにずっと来てる。

漁協の一番の仕事は、海産物を海から水揚げするシステム作りだと思っている。それは海に船を出す人、所謂漁師がいなきゃ絶対できない。それが今、その海に行く人が極端に少なくなってる。例えば、食べる通信の読者とか、企業とか、綾里の人以外の人たちが、海に船を出して漁業ができるような環境整えたら面白いって思うよね。

空いてる海をいかに利活用するかっていうのが漁協の腕のみせどころじゃないですか。制限の設置の仕方とか外部からの受け入れとかのコントロールはこれから漁協がしていかなきゃいけないこと。」


でも漁協のなかにはこうした意見に消極的な人もいます。

「長い道のりを一歩一歩進んでる一方、それでもまだ逆風感もある。」と、変えていくことの難しさを率直に語ってくださいました。自分はプロデューサー。色々な化学反応を巻き起こしたい。

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